洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

各自のコップにブラシ部を上にして他者のブラシに接触しないように10名程度まとめて保管しています。週1で消毒する他は同じ手袋で全員分を洗浄し保管しています。歯ブラシの管理方法についてご教授ください。(J.Y)

歯ブラシは洗浄が行いにくいうえに乾燥しにくいので、構造的に微生物汚染を受けやすい物品です。図には、患者様に用いていた歯ブラシの緑膿菌汚染例を示しました。また、歯ブラシの共用によりB型肝炎ウイルスが伝播することも分っています1)。したがって、歯ブラシの管理では、歯ブラシから歯ブラシへの交叉汚染に留意する必要があります。

ご質問者の病院では「同じ手袋で全員分を洗浄」とのことですから、この際には交叉汚染に対して注意を払ってください。使用後の歯ブラシの洗浄は流水下や各自のコップ内などで行っておられると思いますが、もしブラシ部分に手袋が触れた場合には手袋の交換や手袋のアルコール消毒などが勧められます。歯ブラシの洗浄後は、ご質問者がすでに行っておられる「他者のブラシに接触しないように保管」で良いです。

なお、コンプロマイズド・ホスト(易感染者)が用いる歯ブラシの高濃度の微生物汚染の防止には、乾燥が大切です。2本用意して1日おきに使用するなどが勧められます。風通しの良い場所に歯ブラシを置き、乾燥させてください。

歯ブラシの緑膿菌汚染例

引用文献
  1. Goh KT, et al: Hepatitis B infection in households of acute cases. J Epidemiol Community Health. 39: 123-128, 1985.

尾家 重治(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部)
2019年05月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
ホームページに関するお問い合わせはこちら