洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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薬剤調製前にクリーンベンチや安全キャビネット内を消毒する際には、消毒用エタノールではなく、環境用の清拭クロス(第四級アンモニウム塩、エタノール、ペルオキソ一硫酸水素カリウムまたは次亜塩素酸ナトリウム含有)を使用してはいけないでしょうか?(K.T.)

環境用の清拭クロス(エタノール含有)を使用しても良いです。

薬剤調製前のクリーンベンチや安全キャビネット内の消毒には、消毒用エタノールが第一選択消毒薬です(図)。なぜなら、消毒用エタノールは芽胞以外の広範囲の微生物に有効で、速効性で、速乾性で、かつブドウ糖液などの薬液による汚れの除去効果も期待できるからです。同様の理由で、ご質問のうちのエタノール含有の環境用の清拭クロスも、クリーンベンチなどの消毒に適しています。ただし、この際のエタノールの濃度は76.9~81.4vol%が望ましいです。すなわち、消毒用エタノールを含有した清拭クロス(サラヤエタノールクロス80など)を用いてください。

一方、薬剤調製前のクリーンベンチ内などの消毒に、ご質問のうちのエタノール以外の環境用の清拭クロス(第四級アンモニウム塩,ペルオキソ一硫酸水素カリウム,次亜塩素酸ナトリウム含有)を使用することは勧められません。なぜなら、第四級アンモニウム塩の清拭クロスは、汚れの除去効果が期待できるものの、アスペルギルスなどの糸状真菌に対する効力が劣っており、また速乾性ではないからです。ペルオキソ一硫酸水素カリウムの清拭クロスは、汚れの除去効果に優れているものの、速乾性ではないからです。さらに、次亜塩素酸ナトリウムの清拭クロスは、芽胞にも有効な優れた効力を有するものの、金属腐食性を示すとともに速乾性ではないからです。

クリーンベンチ内の消毒  消毒用エタノール清拭が適している。


尾家 重治(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部)
2020年01月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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