次亜塩素酸ナトリウムの希釈方法
次亜塩素酸ナトリウムは抗菌スペクトルが広く、芽胞にも有効な消毒薬です。したがって、次亜塩素酸ナトリウムの希釈は水道水で差し支えありません。また、次亜塩素酸ナトリウムは水道水で沈殿などを生じることはないので、精製水を用いる必要性はありません。
希釈後の次亜塩素酸ナトリウムの保存方法と保存期間
希釈後の次亜塩素酸ナトリウムの安定性(有効性)は保存条件などで異なります。たとえば、直射日光下での保存では数時間で分解して効力がなくなります(図1)。したがって、次亜塩素酸ナトリウムは遮光保存が原則です。一方、製品間でも安定性が大きく異なります。たとえば、次亜塩素酸ナトリウム製品の有効期限は医薬品では6カ月~3年間と幅があり、雑品では不明です。さらに、室温保存でよい製品と冷所保存すべき製品があります(表)。
また、図2に示したように、希釈後の次亜塩素酸ナトリウムは遮光容器内では比較的安定です1,2)。したがって、希釈後の次亜塩素酸ナトリウムの保存期間は、有効期限内の製品の希釈であれば、遮光容器やアルミホイルを巻いたペットボトル内などで1カ月間としてよいでしょう。この際、冷所保存が指示されている製品では、その希釈液も冷所保存が必要です。
室温保存でよい | 冷所保存*すべき |
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ヤクラックスD液1% ミルトン ミルクポン ピュリファンP テキサントP ピューラックス 次亜塩0.1%液「ヨシダ」など |
次亜塩6%液「ヨシダ」 テキサント消毒液6% サンラック ハイポライト10 など |
*冷所保存:1~15℃
- 引用文献
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- Bloomfield SF, et al: Eusol PBC and other hypochiorite formulations used in hospitals. Pham J, 235: 153-157, 1985.
- Rutala WA, et al: Stability and bacterial activity of chlorine solutions. Infect Control Hosp Epidemiol, 19: 323-327, 1998.
尾家 重治
(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部)
2020年05月