「次亜塩素酸水」は酸性電解水の総称であり次亜塩素酸ナトリウムとは全く異なります。電気分解とpHなどの製造条件により様々な残留(有効)塩素濃度のものが精製されます。さらに、紫外線や有機物により容易に不活性化してしまう性質があるため、消毒薬としての認識は不適切です。
酸性電解水の大部分は酸性領域において次亜塩素酸濃度が10~50ppm(平均 25ppm)程度であり、有機物の存在や混入により不活性化を受けやすい上に紫外線による不活性化、塩素ガスの発生、金属腐食性などの問題が指摘されています。
次亜塩素酸水を空間噴霧した場合の有効性を評価する確立された評価方法は定まっていません。塩素ガスの発生は明らかですので、生体に対して毒性を示す可能性があります。空気中の塩素ガスの環境基準は0.5ppmとなっています。次亜塩素酸水で手指消毒した場合の手洗いシンクの底付近では塩素ガス濃度は 5~7ppmにも達します。空間特に空気の消毒に次亜塩素酸水をはじめ消毒薬の噴霧を行うことは危険です。部屋の空気の清浄化には換気が最も大切です。
酸性電解水は「手指の殺菌洗浄」として一部の製造機が薬事法認可(医療用具認可)を取得したことから医療現場において使用されていた経緯があります。その後,多くの企業が参入し,様々な機種が登場したため,酸性水の性状,効果,殺菌機構および生成装置の仕様は統一性を欠き,現場では混乱しています。
次亜塩素酸水を空中に散布した場合には粘膜(気道粘膜を含む)へのダメージがあるため危険です。新型コロナウイルス感染対策に手指消毒や物品消毒、空間除菌目的で次亜塩素酸水を使用することは推奨されません。