廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル(平成30年3月 環境省)によれば、「感染性廃棄物」は医療行為等により廃棄物となった脱脂綿、ガーゼ、包帯、ギブス、紙おむつ、注射針、注射筒、輸液点滴セット、体温計、試験管等の検査器具、有機溶剤、血液、臓器・組織等のうち、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体が含まれ、若しくは付着し、又はこれらのおそれのあるものが該当すると定義されています。
紙おむつは総て感染性廃棄物というわけではなく、感染する病原体が付着している可能性のあるおむつが該当します。血液がおむつに付着している場合や多剤耐性菌が付着している場合などです。
感染症法に規定される感染症に関し、使用後に排出される紙おむつについて、感染性廃棄物に該当するか否かについては、下記の資料(参考1)のごとくです。通常、医療関係機関等から排出される廃棄物は「形状」、「排出場所」及び「感染症の種類」の観点から感染性廃棄物の該否について判断ができますが、これらいずれの観点からも判断できない場合であっても、血液等その他の付着の程度やこれらが付着した廃棄物の形状、性状の違いにより、専門知識を有する者(医師、歯科医師及び獣医師)によって感染のおそれがあると判断される場合は感染性廃棄物とする。 なお、非感染性の廃棄物であっても、鋭利なものについては感染性廃棄物と同等の取扱いとすることとなっています。
お示しのごとくの痰や眼脂などから多剤耐性菌が検出されているからと言って、必ずしもおむつに付着していると考える必要はありません。しかし、紙おむつの排出場所によっては感染性と判断しなければならない場合があります。感染症病床、結核病床、手術室、緊急外来室、集中治療室及び検査室において治療、検査等に使用された後、排出されたものが該当します。
特別養護老人ホームなど、医療行為を伴わない高齢者介護施設から排出される使用済み紙おむつの多くは、事業所から排出される事業系一般廃棄物として、収集され処分されます。
医療施設から排出される廃棄物は、通常、医師の判断により感染性がないとされた場合は事業系一般廃棄物として取り扱われます。また医師によって感染性があると判断された場合は特別管理一般廃棄物とされます。感染性があると判断されたものによる汚染のある紙おむつはここに分類されます。
平成30年3月 環境省