一般的にシンクの清潔区域とは、医療従事者が手を洗うシンクになります。医療従事者が使用する手洗いシンクが、汚染されていると、それが原因で交差感染を起こし、医療関連感染が起こる可能性があるため、手洗い用シンクは器材洗いとは完全に分ける必要があります。
手洗いシンクには、①水栓は自動タイプである、②液体石鹸が設置されている、③正しい手洗い手順のポスターを掲示している、④ペーパーホルダーは上から下に引き抜けるホルダーが手洗いシンクのすぐそばで、水しぶきがかからない所に設置されている、⑤その近くに足踏み式のゴミ箱を設置している、ということも重要です。また、手洗いシンクは、オーバーフローの穴がないタイプのシンクが望ましいです。
シンクの不潔区域とは、器材を洗浄するシンクになります。コップや経管栄養などの器材を洗浄するのは不潔シンクで行ってください。また、器材シンクで使用するスポンジの衛生管理も大切なポイントになります。常に乾燥させることができるようになっているか、交換頻度は決められているかなど確認して下さい。どちらのシンクも濡れたままにしておくと、水回りを好むグラム陰性桿菌が増えるリスクがありますので、使用後は乾燥させることが重要です。
吉田 理香(東京医療保健大学大学院 教授)
2020年11月