熱水消毒法とは、熱水や蒸気を用いて高温水に接触させることで、熱に弱い細菌やウイルスを殺滅する方法です。例えば、80℃10分間の処理により、芽胞を除くほとんどの微生物を死滅または不活化することが出来ますので、我が国では80℃10分が熱水消毒の条件となっています。しかし、国によってその温度や処理時間は違います1)。
ご質問では、「家庭では...」とありますが、対象の病原菌によって80℃10分間でなく、温度を上げて短時間で処理する方法もあります。家庭で対応しなければいけないウイルスの代表的なものにノロウイルスがありますが、これは85℃90秒以上で失活化することが分かっています2)。温度を一定に保つのであれば、温度計で確認し温度が下がれば、お湯を追加するなどする必要がありますが、一般的に家庭で対応しなければいけない病原体は、ウイルスが多いと思いますが、ウイルスは一般的に高温に弱いとされています。対象の病原菌に合わせた温度と時間を設定して下さい。
- 引用文献
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- 日本医療機器学会. 医療現場における滅菌保証のガイドライン 2015. P14
https://www.jsmi.gr.jp/pdf/Guideline2015ver3.pdf - 厚生労働省.ノロウイルスに関するQ&A.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html#15
- 日本医療機器学会. 医療現場における滅菌保証のガイドライン 2015. P14
吉田 理香(東京医療保健大学大学院 教授)
2021年02月