洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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整形手術で業者から搬入される器械について。器械自体はウォッシャーディスインフェクターに入るのですが、器械のケースはサイズ的に入らない為、食器用洗剤など界面活性剤が入っているもので手洗いしています。問題ないでしょうか。(C.K.)

洗浄剤は、対象物の材質や構造、付着している汚染の特徴、洗浄方法などを考慮して選択します。手術器械及びケースの汚染は、主に血液や体液などのタンパク質と考えられます。食器用洗剤は、食品中の脂肪、油性の汚染を対象にした製品で、血液等の汚染除去を目的とした製品ではありません。実際に、食器用洗浄剤と医療用洗浄剤の洗浄力を比較し、食器用洗浄剤の能力が明確に劣ることは報告されています1,2)。したがって、食器用洗剤は、医療器材の洗浄剤としては認められません。

洗浄剤は、pHから、アルカリ性洗浄剤、中性洗浄剤(医療用酵素洗浄剤)、酸性洗浄剤に分類されます。医療器械の洗浄は、洗浄効果が一定である機械洗浄が望ましいですが、今回のようにやむを得ず用手洗浄を行う場合は、酵素が配合された中性洗剤を選択することが推奨されます。ご質問のケースの材質が不明ですが、中性洗浄剤はステンレスやアルミ、プラスチックなど幅広く適用しており、酵素配合であればより洗浄効果が期待できます。また、作業者の人体への影響については皮膚刺激性が少ないため、用手洗浄に適しています3,4)。なお、酵素洗浄剤は、効力を発揮するためには温度管理や濃度管理も重要になりますので、使用方法について取扱説明書やメーカーに確認して、適切に使用してください。

その他の洗浄剤について、アルカリ性洗浄剤は、多種の有機物の洗浄に適しており、一般的な医療用洗浄剤としてウォッシャーディスインフェクターや超音波洗浄機などに使用されます。特徴として、アルミや真鍮などの非鉄金属を腐食する、人体に刺激性があるため、使用には考慮が必要です。酸性洗浄剤は、さびや水垢などの洗浄に適しています。金属に対する腐食性が強く、使用時には器材への影響を考慮します。

引用文献
  1. 医療現場における洗浄:中央滅菌材料室編.クリーンケミカル,2003.9,p52.
  2. 西川優子、伏見了、岡本昇、竹岡亜華理、高橋遼平他、全国134病院のアンケート調査から知りえた用手洗浄方法と使用洗浄剤の実態.医療関連感染.2018;Vol.11 No.1:1-6
  3. 鋼製小物の洗浄ガイドライン2004、日本医科器械学会刊行、病院サプライVol.9、No.1別冊
  4. 日本規格協会,ISO/JIS規格準拠ヘルスケア製品の滅菌及び滅菌保証,2011

岡﨑 悦子(横浜市立市民病院 感染管理室 副室長)
2021年07月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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