洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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当院でのクリティカル機器の滅菌までの洗浄工程は、「予備洗浄スプレーをかける→水道水でブラッシング→中性洗剤で洗浄→フタラールに5分浸漬→水で洗い拭き上げ乾燥→滅菌」ですが、正しい方法でしょうか。改善点があれば教えてください。(N.G.)

クリティカルの機器と書かれているものが、どのようなものなのかわかりませんが、滅菌処理を行う前には、できるだけ汚染やバイオバーデン(被滅菌物に生存する微生物の数と種類)を除去するため、十分な洗浄を行うことが重要です。しかし、基本的に滅菌前に高水準消毒薬を使用する必要はありません。高水準消毒薬は、セミクリティカルの器材に対して洗浄後の消毒薬として使用します。高水準消毒薬は、生体毒性や環境汚染の問題もあり、使用する場合は、個人防護具(ガウン、マスク、洗浄用手袋、ゴーグル)を着用し、十分な換気ができる環境での作業が必要です1)

質問では用手洗浄の工程についてでしたが、手洗浄しかできない器具・器材については仕方がありませんが、機械洗浄ができるものはウォッシャーディスインフェクターを使用することが推奨されています。これは、用手洗浄に比較して技術的なバラツキや目視での汚れの確認不足などの人為的ミスを防ぐことができ、正確な洗浄と熱水消毒ができます。また、ウォッシャーディスインフェクターがない場合は、超音波洗浄や適切な酵素系浸漬洗浄剤で確実に洗浄すれば、優れた洗浄効果が期待できます。酵素系浸漬洗浄剤は、40~50℃の温度管理のための恒温槽等が必要ですので、使用される場合は消毒薬の取り扱い仕様書等を確認して下さい。

引用文献
  1. 大久保憲,尾家重治, 金光敬二 編集.2020年版消毒と滅菌のガイドライン.へるす出版,東京,2020;48‐52.

吉田 理香(東京医療保健大学大学院 教授)
2021年08月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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