洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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ボックスロックを有する鉗子の洗浄(ウォッシャーディスインフェクター+超音波洗浄機)の時、鉗子を最も開いた状態でバスケットに並べておりますが、ボックスロック部の隙間がなくなり密着してしまいます。洗浄液が到達できない状態だと思うのですが、いかがでしょうか。鉗子類を洗浄する際の適切な開き方や並べ方について教えてください。(S.M.)

ボックスロックを有する鉗子(写真1)を洗浄する際の、鉗子の開き方および並べ方についてです。ご質問者のお考えの通りです。

鉗子を最も開いた状態にしますと、ボックスロック部の隙間が小さくなり、きつく閉まったような感じとなり(写真2)、洗浄液が到達し難い状態になってしまいます。よって、洗浄の際の鉗子は、90°程度に開き(写真3)、まだ開きに余裕を残した状態にすることで、ボックス部分の隙間が確保でき、洗浄効果が上がります。
「ボックスロックとは器具の蝶番部である。これは器具の清浄化するときに最も問題となる部分である」1)と述べられており、開き方等に留意することは大変重要です。

次に並べ方です。
ウォッシャーディスインフェクター(WD)のシャワーリング効果が最大となるよう、バスケット内での器具の重なりは可能な限り少なくするのが原則です。一方、大量の器材の処理を考えますと、ある程度の重なりは容認される現状があります。自施設で使用しているWDの性能による差もあることから、洗浄インジケータを用いた洗浄レベル評価を行い、"完全に洗浄できる並べ方の目安"を確認しましょう。

その他の留意点として、分解できるものはすべて分解してからセットすること、器材の接触による破損等を防止するため、繊細な器材はピンマットなどで固定します。また、「大型の鈎類は表面積が大きく、加圧水流や超音波を遮蔽することから、鉗子や持針器などの洗浄物と同一バスケットに配置することは望ましくない」2)と述べられています。できるだけ類似する形状の器材を同一バスケットに配置しましょう。

引用文献
  1. 中材業務及び滅菌技法研究会;機器装備、中央材料滅菌室のテクニシャンのためのトレーニングマニュアル、中材業務及び滅菌技法研究会、1998、69-70
  2. 一般社団法人医療関連サービス振興会、日本滅菌業協会編集;洗浄、滅菌業務テキスト、日本滅菌業協会、2014、108-9

小野 和代(東京医科歯科大学 統合診療機構 機構長補佐・
医学部附属病院 医療安全管理部GRM・認定看護管理者 感染管理認定看護師)
2021年09月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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