シャワーヘッド(図など)はそのパッキンも含めて100℃などまでの耐熱性があります。したがって、シャワーヘッドの消毒は、消毒薬よりもむしろ熱(熱水、蒸気)のほうが適しています。消毒薬に比べて、熱のほうが確実な消毒効果を示すからです1,2)。80℃・10分間の熱水で消毒してください3-5)。家庭用食器洗浄機(除菌モードや80℃モードで)や、ウオッシャーディスインフェクタなどの利用ができればなお良いです。
一方、消毒頻度についてのご質問ですが、シャワーヘッドは構造的に微生物汚染を受けやすく、消毒を行っても数日中に再汚染を受けてきます。また、マンパワーの点からシャワーヘッドの毎日などの消毒は実行しにくいです。さらに、シャワーヘッドのみならずそのホースや配管などはどうなのかとの問題もあります。したがって、易感染者(コンプロマイズド・ホスト)が使用するシャワーでは、シャワーヘッドの消毒は月1回、またシャワーホースが交換可能なら交換は年1回などと決められるのは如何でしょうか。
使用頻度の低い(1日1~2回など)シャワーの使用では、シャワー水の汚染菌量を100分の1以下に低下させるため、使用前に5分間程度のフラッシュを行う方法が勧められます。なお、レジオネラ対策のため、貯湯タンクの水温は60℃以上に保つ必要があります6)。
- 引用文献
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- 尾家重治,神谷晃.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する温水の効果.環境感染.8:11-14,1993.
- Muraca P, Stout JE, Yu VL. Comparative assessment of chlorine, heat, ozone, and UV light for killing Legionella pneumophila within a model plumbing system. Appl Environ Microbiol. 53: 447-453, 1987.
- Chang C-W, Hwang Y-H, Cheng W-Y, et al. Effects of chlorination and heat disinfection on long-term starved Legionella pneumophila in warm water. J Appl Microbiol. 102: 1636-1644, 2007.
- Ayliffe GAJ, Fraise AP, Geddes AM et al. "Control of hospital infection: a practical handbook" 4th ed, Arnold, London, 2000.
- 大久保憲,尾家重治,金光敬二."2020年版 消毒と滅菌のガイドライン",へるす出版,2020.
- 厚生労働大臣 坂口力.レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針.厚生労働省告示第264号,平成15年7月25日.
尾家 重治(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部)
2021年11月