洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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コロナ対策で、MRIやCTなどの検査で検査内容に関わらず一律検査着への更衣をお願いするようになりました。 コロナ対策としての意義は本当にあるのでしょうか。過剰ではないですか?(Y.S.)

新型コロナウイルス感染症の感染経路は、飛沫感染と接触感染、エアロゾルを考慮します1,2)。更衣時に、患者が検査着表面に触れることを踏まえると、新しい検査着に着替えた場合でも曝露リスクはゼロにはならず、環境消毒も必要となります。また、拡散防止の面から、患者の行動は最小限にし、滞在時間もなるべく短い方がよいです。一方、一般撮影やCT検査等で、金属類やプラスチックが画像上に写り診断の妨げになる、MR検査では金属類が磁気に引っ張られてしまうなど、診断上、安全上の問題を回避するために検査着への更衣は有効とされています。コロナ対策のために一律行うのではなく、診断や安全対策の面から、必要な患者に検査着の更衣をしていただくようにされてはどうでしょうか。

環境消毒は、使用した検査室や更衣室を行います。例えば、患者が触れた物やドアノブ、脱衣の時に患者の衣類が触れた場所、患者が座った椅子や横になった検査台、医療者が患者に触れた後に消毒なしで触った機器など、消毒用アルコールや0.05%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウムによる清拭消毒が推奨されます2-4)。患者対応時の個人防護具は、ガウン、手袋、サージカルマスク(咳症状のある患者対応の場合はN95微粒子用マスクを考慮)、状況によりフェイスシールド・ゴーグルを着用します2)。検査室は、1回の使用時間をなるべく短くする、使用する間隔をあける、換気をする、へパフィルターボードを使用する、など環境に関する対応も参考にしてください。

引用文献
  1. 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第6.0版
    https://www.mhlw.go.jp/content/000851082.pdf
  2. 日本環境感染学会:医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第3版
    http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID-19_taioguide3.pdf
  3. 国立感染症研究所、国立国際医療研究センター:新型コロナウイルス感染症に対する感染管理 2021年8月6日改訂版 
    https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/covid19-01-210806.pdf
  4. 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の消毒・除菌方法について 
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html

岡﨑 悦子(横浜市立市民病院 感染管理室 副室長)
2021年11月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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