BCG(Bacillus de Calmette et Guérin)は弱毒化した牛型結核生菌の凍結乾燥製剤で、膀胱注入2時間後に排尿された尿中に排出されます。そのため、処理する尿は感染性病原体が含まれているものと認識し、感染リスクを考慮して対応する必要があります。
BCG膀胱内注入療法時の対策として、膀胱内注入後の尿を10%次亜塩素酸ナトリウムや家庭用漂白剤(5%次亜塩素酸ナトリウム)、イソプロパノールなどで消毒後廃棄することが推奨されています1,2)。消毒処理を行うことは、尿の感染性を失わせ、対応する医療者の感染リスクを低下させることに繋がります。ご質問のような医療廃液凝固剤等で固める作業は、その時点で尿の感染性が失われていないため、医療者の感染リスクを考慮すると望ましくありません。
また、製剤を使用するときには、添付文書の注意事項を遵守することが求められますので、記載されている処理方法も再度確認してください。
最後に、医療機関では感染性の排液等を固めて廃棄することも多くありますが、廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル3)では、「液状又は泥状のものは、廃液等が漏洩しない密閉容器を使用する」とあり、凝固することまでは明記されていません。今後、別の対応について検討される際には、処理方法や保管、搬送とともに、医療者の曝露防止の観点等を考慮し、整理されると良いと思います。
- 引用文献
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- 日本泌尿器科学会.泌尿器科領域における感染制御ガイドライン 日本泌尿器科学会雑誌第100巻第4号 2009年
https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/12_infection_control_urology.pdf - 日本化薬株式会社.イムノブラダー膀胱注用適正使用ガイド.2021年10月
https://mink.nipponkayaku.co.jp/product/di/ty_file/imbi_ty_ib26.pdf - 環境省.廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル 平成30年3月発行
https://www.env.go.jp/recycle/kansen-manual1.pdf
- 日本泌尿器科学会.泌尿器科領域における感染制御ガイドライン 日本泌尿器科学会雑誌第100巻第4号 2009年
岡﨑 悦子(横浜市立脳卒中・神経脊椎センター 医療安全管理室 副室長)
2022年05月