梅毒、ＨＢＶ、ＨＣＶ患者の使用後の鑷子は水洗い後グルタラール浸水がベストですか？エタノールではダメでしょうか。(N.K.)

グルタラール浸漬はベストではありません。グルタラール浸漬法では曝露毒性が問題になるからです¹⁾。その蒸気は眼や呼吸器系の粘膜を刺激し、その液の付着では化学損傷（熱傷）が生じます。本薬は内視鏡消毒への使用にとどめて、換気の良い環境で用いるべきです。一方、エタノール浸漬はダメなわけではありませんが、ややコスト高になり、引火の危険性もあるので積極的には勧められません。

鑷子などの耐熱性器材の消毒は、熱（熱水、蒸気）で行うのがベストです²⁾。曝露毒性がなく、消毒効果が確実で、しかもランニングコストが安いからです。ウォッシャーディスインフェクタや家庭用食器洗浄機（図など）を用いた洗浄・消毒を行うのが望ましいです。家庭用食器洗浄機は購入コストが比較的安価で、80℃モードや除菌モードでの使用で梅毒トレポネーマ、HBVおよびHCVに対して十分な消毒効果が期待できます。