洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

病棟で使用した攝子等の機材に対して血液汚染がある場合に、凝固阻止剤を噴霧しています。目に見えて血液汚染がない場合は、噴霧しなくてもいいのでしょうか。使用後、当日中に中央材料室で処理しています。(J.Y.)

お使いの製品の詳細が不明ですので、一般的な凝固防止剤の使用を前提に回答します。

再使用器材の洗浄は、その後の消毒や滅菌を効果的に行う上で非常に重要です1)。使用済みの器材は、速やかに洗浄することが望ましいですが、病棟等における一時洗浄が望ましくないために中央化されている現状では、病棟や外来で使用した器材を中央材料室に搬送するまでの間、使用後器材の汚染物の乾燥や固化(固着)防止対策を考えます。

汚染物の乾燥や固化(固着)を防止する方法として、①使用後直ちに水に浸漬する②凝固防止剤を塗布する➂蛋白分解酵素配合の洗浄剤に浸漬する、などがあります。中央材料室までの搬送を考慮すると、②を選択される施設も多いでしょう。凝固防止剤(予備洗浄用スプレー)の長所として簡便であることがあげられますが、注意しなければいけないことは、塗布されていないところは汚染物の乾燥や固化(固着)を防止できない点です。器材の汚染は、血液や体液などの有機物や薬品を対象とします。目に見える血液汚染で区別することなく、器材に万遍なく塗布し、汚染の多いところに更に重点的に塗布するなど工夫されるとよいでしょう。

凝固防止剤を効果的に使用するには、①汚染器材に万遍なく塗布する(取り外せる部分は外す、内腔があれば内腔も塗布する)②器材使用後速やかに塗布する➂塗布後は密閉容器で保管する④使用方法についての教育、など大切です。また、職員の安全について、汚染器材を取り扱うことや塗布時の跳ね返りによる曝露を考慮し、手袋やマスク、袖付きガウン、目への跳ね返りに対し目の保護具着用など、個人防護具の着用と教育も大切なことです。

引用文献

  1. 一般社団法人日本医療機器学会:医療現場における滅菌保証のガイドライン2021
    https://www.jsmi.gr.jp/wp/docu/2021/10/mekkinhoshouguideline2021.pdf 

岡﨑 悦子(横浜市立脳卒中・神経脊椎センター 医療安全管理室 副室長)
2024年07月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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