経腸栄養剤(経口・経管)は、「医薬品扱い」「食品扱い」の2つがあります。肝不全経口栄養剤も同様です。一方、臨床現場ではそれらを区別せずに「栄養剤」として扱うことが多いです。また、薬品保冷庫には冷所保管の注射薬・内服用の水薬・坐薬・吸入薬などが保管されています。このような現状を踏まえ、肝不全経口栄養剤などの保管管理を考えます。
医薬品等は「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」により、厳密な管理が要求されます。よって、薬品保冷庫に“食事”を保管するようなことはしません。もしそのようなことがあれば、外部機関による監査等でも指導対象となっている現状があります。栄養剤は食事として取り扱うことが一般的であることから、薬品保冷庫ではなく別の保冷庫に保管することが望ましいと考えます。
別に保管することで、投与経路間違えのリスクを低減する、栄養剤による注射薬等の汚染リスクの回避等につながります。
看護師によって調製された栄養剤について、「粉末状栄養剤の溶解には、沸騰水をさましたもの、または滅菌水を用いるが、この方法では無菌的な調製は不可能であるので、できるだけ短時間で投与するなど、微生物汚染に特に注意する必要がある1)」と述べられています。
そのようなリスクを考慮すべき栄養剤と医薬品は分けての保管が望ましいです。
肝不全経口栄養剤の1例である添付文書2)には「用時調製するが、調製後10時間以内に使用すること。また、調製後やむなく保存する場合は冷所保存が望ましい」とあります。用時調製を基本とし、調製後の冷所保管は短時間にしましょう。
以上のような点を理解し、自施設での保冷庫(医薬品と栄養剤)の調整を図った上で、保管上の決まりを作成し遵守しましょう。
引用文献
- 日本静脈経腸栄養学会編:静脈経腸栄養ガイドライン(第3版),照林社,2013,p117-119
- 大塚製薬株式会社:アミノレバン®EN配合散添付文書, 2021年8月改訂(第1版)