手術室の清浄化で大切なことは、手術室全体の無菌化ではなく、術野への汚染防止を目的とした日常的な清掃を適切に行うことです。手術室環境整備では消毒ではなく汚染を取り除く日常業務としての清掃が必要です。そのためには除塵、清掃、消毒の目的を明確に区別して行ってください。
手術台及びその周辺の環境は、血液や体液に加え術野に使用した薬剤もしくは局所創洗浄液などで汚れる場合がありますので、目に見える汚染の有無にかかわらず手術終了ごとに洗浄剤浸漬ワイプ等による清拭が必要です。手術後清掃に使用する薬剤は消毒というより洗浄剤としての作用を期待して0.2~0.5%両性界面活性剤を用いるのが一般的でしょう。消毒用エタノールワイプを用いた清拭使用でも構いません。
眼科の手術を含めて小手術の場合には手術台の汚染防止のために患者ごとに不織布シーツのみを交換する方法でも構いません。明らかな汚染がある場合には除菌ペーパーなどで汚染部位を拭き取ってください。手術患者の入れ替え時(手術間)の清掃は手術台を中心にした小範囲を短時間で効率よく実施することが求められます。
一日の手術終了後に行われる環境整備は、床面の除塵と清拭、手術台清拭消毒、機械類やコード類の清拭を入念に行ってください。環境消毒は必要に応じて血中ウイルスを対象とした場合には0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウム、一般細菌を対象とした場合には0.2~0.5%両性界面活性剤もしくは塩化ベンザルコニウムを使用します。
手術の種類に関わらず、手術室は日常では行えないような区域(保温庫、冷蔵庫、棚など)の清掃を週末や月末に計画的に行ってください。床はモップと除菌洗浄剤で清拭清掃を行います。画像モニター表面は静電気による塵埃の付着に注目して定期清掃を行い、パソコンのキーボードやマウスの汚染などにも注意して汚染除去を行います。
ご質問の眼科手術終了後の環境清掃を毎回行う方式は賛成できますが、毎週末などでの定期的環境消毒は実施された方が良いと思います。環境消毒には0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムを使用し、環境清掃の場合には0.2~0.5%両性界面活性剤等を浸漬したワイプによる清拭法を推奨いたします。