洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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5L以上の酸素療法の加湿に使用する滅菌精製水はどれくらいで交換したらよろしいでしょうか。(M.M.)

酸素療法の加湿に関して、感染対策上は、第一に、閉鎖式の滅菌精製水の入っている使い捨て加湿器用パックの使用が推奨されます。取り扱い時には手指衛生を行い、接続口を汚染させないように注意する、時間ではなく残量に応じて新しいものに交換する方法がよいです。一患者ごとに使用、再使用はしない、そのほか添付文書の注意事項を守り使用します。

再利用型の加湿器を使用されている場合にも、滅菌精製水の交換頻度はなるべく少ない方がよいです。定時交換をすると、都度、操作時の汚染リスクに晒されることになります。同一施設で、8時間毎、1日毎、1週間毎など、部署によって交換頻度等が異なる状況で、いずれも酸素用加湿器の汚染を認めたという報告があります1)。人の手が入ることによって汚染のリスクを上げてしまう一例と言えます。

消毒と滅菌のガイドライン2)では、酸素用加湿器の消毒(酸素バブル加湿器)について、「7日間ごとなど」と期間が示されています。酸素バブル加湿器は、最長期間を7日間とし、滅菌精製水は時間で交換するのではなく、残量がなくなるタイミングで交換するようにしてはどうでしょうか。取り扱う際は、手指衛生と清潔操作が重要です。

同ガイドラインでも「使い捨ての製品を勧められる」とあります。再利用型の加湿器をご使用されているのであれば、加湿用精製水の細菌汚染、加湿器用精製水の購入費用と交換業務等の観点から、閉鎖式の使い捨て加湿用パックの導入を検討される機会としてもよいのではないでしょうか。

参考文献

  1. 岡田純也,松本麻里,志水友加他:大学病院におけるネブライザーと酸素用加湿器の細菌汚染に関する研究,長崎大学医療技術短期大学部紀要 14 (1), 51-55, 2001
  2. 大久保憲, 尾家重治,金光敬二:2025年版消毒と滅菌のガイドライン.へるす出版.2025.

岡﨑 悦子(横浜市立脳卒中・神経脊椎センター 医療安全管理室 副室長)
2025年03月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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